アシックスの3D足型計測器が暴いた、僕の扁平足

ランニングシューズ

この写真は、僕の足型である。くれぐれも言っておくが、ヒグマの足跡ではない。

2013年10月6日、上野御徒町のアートスポーツ本店にて。アシックスの3D足型測定器で測った、その結果だ。

そう、僕は扁平足なのである。

特に左足。土踏まず、らしきものが、ほぼないのである。自分でも、うすうすわかっていた。

そもそも走るのは、子供の時分から、得意じゃない。徒競走は4位が最高。リレーの選手に選ばれたことなんて、一度もない。足が遅い=扁平足気味だと、親にも言われてきた。

しかし、しかし、足型測定器など機械ごときに、扁平足の烙印を押されたくなかった。客観的に事を突きつけられると、もはや逃がれようがないじゃないか。

その日、アートスポーツに行ったのには、ワケがある。

その頃、僕は初めてのフルマラソン出場を目指して、走っていた。2013年の元旦からコツコツと走り始め、時折、右ふくらはぎ痛で休んだりしたが、それでも5キロ、10キロ、20キロと順調に走る距離を延ばしてきた。決してオーバーワークをしていたわけではないと思うのだが、暑かった夏が過ぎると、左ひざに鈍い痛みを感じていた。

原因に思いをめぐらしてみた。春から履き続けてきたアシックス・ライトレーサーというシューズに目をやると、底がヘタっているように見えた。

「そうか、シューズが寿命なんだ」

ひざの痛みの原因は、シューズのヘタりだと考えると、納得できた。それから、僕は仕事帰りにスポーツショップを覗いたり、ネットを見たりして、シューズの物色を始めた。欲しいのは、すぐに決まった。アディダスのブースト。色は赤。あとは、足にジャストフィットするサイズを選ぶだけだった。それで、わざわざ足型測定器のあるアートスポーツを訪れたのだ。

先客が何人かいて少し待たされたが、待つ間、アディダスのブーストのディスプレイを見ていると、心が踊った。やっぱり、スポーティーに決めるなら、3本線だ。足底の発泡スチロールのような白い物体が、抜群のバネとクッションになるという。ひざの痛みも忘れ、飛ぶように走るじぶんの姿を想像していた。

測定の順番はわりとすぐにきた。片足ずつを銀色の箱の中に入れて、しばし直立する。銀の箱の中で、何かが動き、足をスキャニングしているようだ。データはパソコンに転送され、結果が出力されるのをしばし待つ。

「つるてんさ~ん」

若い男の店員さんに声を掛けられた。手にはA4判に印刷された測定結果を持っていた。

この足でフルマラソン、走るんですか?…いや、この足じゃ、完走できないと思いますよ。土踏まずのアーチが潰れてますから、着地時の衝撃が吸収できないんです。カンペキな扁平足ですね。まず、走る前に、脚づくりをしないと…。足の指をグー・パー・グー・パーしたり、青竹踏みもいいですよ…。それと、足幅が『G』ですから、履けるシューズも決まってきますね…」

ちょ、ちょっと待ってくれ。一気にまくしたてられても、脳が処理できない。僕は、アディダスのブーストが欲しいだけなのだ。フィットするサイズがわかればいい。

「アディダスは無理です。細身に作られているんですよ。Gサイズがあるのは、ニューバランスだけです。当店にはこれしか在庫がないんですけど、履いてみます?」

な、なんてことだ。履きたいシューズが、選べないとは。それに僕の足が、そんなに走るのに不向きだとは、思いもしなかった。バッドニュースに、僕は意気消沈した。

目の前に出されたのは、白いニューバランスM1040。ウルトラマラソンや24時間テレビランナー御用達のシューズらしい。見るからに、アディダスのシューズより、横幅が大きかった。でも、そんなことは、もはや大した問題ではない。

僕の、履けるシューズは、これだけなのだ。

僕は試し履きをし、じぶんを納得させ、M1040を購入した。案外、悪くないと。だけど、そのときはまだ、これからじぶんに起きる出来事をまだ知る由もなかった。

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