7月4日土曜日、午前7時。
僕とゆかりっちは、サーファーズパラダイスのメインストリート・カビルモールを抜け、ビーチへとやってきた。太陽が海から昇りはじめ、海が朝の光にきらめいている。
マラソン本番は明日。きょうは、前日までの長旅の疲れを取りつつ、本番への準備をしなければならない。
フルマラソン前日の過ごし方を振り返ってみよう。
谷川真里さんとモーニングラン！
僕らは、朝7時からサーファーズパラダイスのビーチで行われた、谷川真理さんのモーニングランに参加した。これは大会オフィシャルイベントのひとつのようで、誰でも無料で参加できる。
参加者は老若男女、40〜50人。まずは谷川さん指導のもと、ビーチでたっぷりストレッチ。股関節と肩甲骨をゆるめるストレッチは、勉強になった。
その後は、ビーチ沿いの遊歩道を3kmラン。谷川さんと先頭集団はキロ6分前後で軽快に走っていたが、僕とゆかりっちはあくまでもマイペース。7分30秒から6分30秒へ、ビルドアップ気味に、ゆっくり気持ちいい汗を流した。
ランを終えると、谷川さんから明日に向けてのアドバイスがあった。「マラソンは30kmから！30kmまではウォーミングアップのつもりで」。んんん…、確かにそうかもしれないが、ビギナーにはハードルの高いお話。30kmまでに脚が売り切れなければいいのだが。
ところで、このモーニングランに参加した目的は２つ。まずは、トップランナーのストレッチや走る前の準備を学ぶ。もうひとつは、本番の体感気温のチェックだ。明日のフルマラソンスタートは午前7:20。薄暗い早朝は12〜13℃とやや肌寒いが、日が昇り、朝7時を過ぎると次第に気温は上昇する。特にスタート前の防寒対策が不安だったので、前日に体感できたことは参考になった。
▼谷川さんから紹介された、白いキャップの人。実は、シニアのハーフマラソン世界記録保持者。明日はフルに参加し、2時間50分台で走るのだそう。マラソンに年齢は関係なし！
何もせず、のんびり過ごす。
マラソン前日は、事前に予定を立てていなかった。しいて言えば、明日に向け、コンディションを整えるのが、この日のテーマ。特にゆかりっちは、今大会でサブ4を狙っているので、かなりナーバスになっている。僕はといえば、サーファーズパラダイスに来たのだから、サーフィンにチャレンジしたいと内心思っていたのだが、口に出すのは止めた。
モーニングランを終えて、ビーチ沿いを少しジョグしてから、ホテルに戻った。そして、前日スーパーで仕入れたトマトとバナナ、ヨーグルト、オレンジジュースで、軽く朝食を済ませ、サーファーズパラダイスの街歩きに出た。
ぶらり街歩きは、楽しい。あれこれ発見がある。
サーファーズパラダイスのセブンイレブン。日本では100円コーヒーだけど、こちらでは$1コーヒー。
コーヒーはホット、アイスだけじゃなく、カフェラテやカプチーノも選べる。いずれも$1。
セブンイレブン店頭では、クリスピー・クリームも売っている。日本でもあればいいのになぁ。
あのそっくりさんに遭遇。オージーは、中国との関係が深いからかな？
よーく見ると、足首にタトゥーが（笑）
シェブロン・ルネッサンス界隈。和食やイタリアンなど、飲食店多数。近辺にはマッサージ店も多い。
おにぎり、うどん、カーボローディング
街を散策しているとき、偶然見つけたのがコレ。回転寿し店が、店頭でおにぎりを販売していた。僕らも早速、明日の朝食用に予約。具はおかかと鮭。痛まないか心配だったので、夜の受け取りにした。サーファーズパラダイスには、ライスロールという手巻き寿司はメジャーで、スーパーなどでも売っているのだけれど、おにぎりはなぜかなかった。
おにぎりの予約を済ませた後、ランチへ。ランチも、もちろんカーボローディング。ヴァピアーノというイタリアンレストランで、パスタ＆ピザ。ボリュームが半端なく、まさにオージー級。
晩ごはんは、かけうどんにライス。
これは、ゆかりっちがグアムのマラソンで、Qちゃんこと高橋尚子さんから直伝された究極のカーボローディングメニュー。つまり、うどんをおかずに白米を食べるというもの。僕には物足りないのだけれど、仕方ない。マラソン前日には、脂肪や繊維質を摂取しないほうが良いのだそうだ（わき腹が痛くなるらしい）。
サーファーズパラダイスの和食店にうどんはあるのだが、天ぷらうどんなどで、「かけうどん」はない。数軒はしごし、やっと見つけたのが、シェブロン・ルネッサンスの隅っこにある「嵯峨野」という店。
ここで事件があった。僕がかけうどんをすすっていると、口の中でガリッと音がした。なにやら針金のような食感。あわてて口から出そうとしたが、時すでに遅し。喉の奥へと、飲み込まれていった。アレはなんだ？と、おそるおそるドンブリの中を探ってみると、やはり針金の破片のようなものが…。
僕は人一倍、神経質なのだ。走っている最中に、針金が内臓の中で暴れ出し、そして…なんて、最悪の事態を想像した。とんだ前日の夜の出来事だった。
いよいよ明日、走る
事件もあったが、明日フルマラソンを走るのだ。きき湯入りの風呂に浸かり、ビールを喉に流し込み、心を落ち着けた。そして、まるで儀式のように、ベッドの上でウェアを選び、ゼッケンを取り付け、無事完走を祈った。
食道か胃のあたりにあろう針金の存在を除けば、不安はない。練習してきたんだ。ベランダに出てみると、月が海を照らしていた。
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