昇進して、初めて部下を持つ人もいるだろう。配置替えで、新たなメンバーと共に仕事をすることになる人もいるかもしれない。春は大なり小なりプロジェクトが始動して、メンバーのマネジメントをする立場になる人もいるはずだ。そんな人たちに、P.F.ドラッカー先生のように上手に語ることはできないかもしれないが、僕なりのエールをおくりたいと思う。長年、マネジメントの舞台でもがいてきた僕の経験は、これから現場でマネージャーとして戦う若いキミたちの、少しはヒントになるかもしれない。僕が実践してきたことを紹介する。ちょっぴり先輩風を吹かして、すまん。まずは、マネージャーとして最初に行うこと。
笑顔であいさつをする。
「はじめまして」「おはようございます」。あいさつは、笑顔で、大きな声でしよう。特に、笑顔は重要だ。作り笑顔だってかまわない。朝、出勤する前に鏡の前で、30秒でいいから練習しよう。口角をちょっと上にあげて、爽やかにニッコリ。それでいい。メンバーは、新しい上司のことをどんな人だろうかと観察している。まず、そのメンバーの心を開く必要がある。それには、笑顔が効果的だ。間違えても、恐い顔や渋い顔は、百害あって一利なし。かえって、メンバーに警戒感を与え、仕事もミスがないよう、メンバーは小さくまとまってしまう。あいさつは、元気なチームをつくる大事な習慣なのだ。
観察する。
メンバーの仕事ぶりや行動、人となりをよく観察しよう。ここでワンポイント・テクニック。じっと、凝視してはいけない。そんなふうに見つめられたら、メンバーも困ってしまい、萎縮してしまう。ちょっと目の焦点を少しぼかし、「ながめる」といった具合がちょうどいい。肝心なことは、各メンバーの長所、短所、個性、悩みなどをざっくりとでいいから、いち早く掴むことだ。特に、各メンバーの良いところを見つけるように心がけよう。他人の短所を論うことなんて、サルでもできるし、それでメンバーのことを分かったというのはアホな上司のすることだ。メンバーの良いところを知り、チームの状況を知らなければ、次の一手は打てない。人心掌握はそれからだ。
掃除する。整理する。
まずは自分の机や身のまわりを掃除し、整理整頓しよう。それは、キミがチームに起こす、最初の小さな変化だ。「異動してきたばかりで、荷物が片付かなくてさぁ」なんて、ヘラヘラしていてはいけない。メンバーはそんなダメなキミを必ず見ている。自分の身のまわりを片付けたら、次は職場の環境をチェック。各自の机の上やまわり、共有の書類棚の中、通路など、どこか雑然としているところはないか。いや、必ずあるはずだ。メンバー全員に声をかけ、全員で掃除をしよう。掃除の原則は、捨てることだ。捨てるとなると、メンバーの中には抵抗を示すものもいるかもしれない。「この書類、捨てられなくて…」というメンバーがいたら、なぜ捨てられないのかを聞いて、整理整頓のルールを決めよう(社内ルールがあるのなら、それを徹底する)。キミがマネージャーとして、チームにもたらす最初の判断だ。たかが掃除と侮るなかれ。職場を整理整頓することで、業務効率は上がり、キミはチームに変化をもたらす。マネージャーとしての第一歩だ。
最初の1週間が、重要だ。
何事も初めが肝心。この3つは、最初の1週間、実践しよう。この後も、まだマネージャーとして、リーダーとして、若いキミたちに伝えたいことがあるのだが……長くなったので、この話はまたの続きに。
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